古くから髪型の変化とともに、櫛の型・素材もさまざまに変わってきましたが、今日、

セルロイド・プラスチック・ヘアーブラシなど数多いヘアー装粧品の中で常に

最上級品の名をほしいままにしてきたのがつげの櫛です。

それは素材の良さと、永年にわたり培われた緻密で、洗練された技法をもって、

入念に仕上げられた結果であり、持った感触のよさ、地肌に柔らかく、

とかす時の通りのなめらかさ、それに材質としても木の密度が細かく、弾力性があって、

折れにくく、元来油気が多いので滑りが良く化学製品の櫛のように静電気が起こって

髪を痛める事もない、つげ櫛ならではの特色です。
 


【和泉櫛(近木櫛)の由来】


和泉が櫛の名産地であることは寛永15年(1638年)の俳書の風俗についても記した

「毛吹草」にも出ています。

その和泉櫛を昔ながらに作っているのは貝塚市とその周辺になります。

皇紀1230年頃、欽明天皇の御代に八種類の櫛造りの器具を持った異国人が

貝塚市二色の浜に漂着し、里人に櫛の製法を伝授したのが始まりと言われています。

全国生産の80%を超える生産高を誇るまでに発展致しましたのでその徳を感謝して、

二色の浜に異国人が持ち込んだ八種類の櫛造りの器具にちなんで八品神社を建立し、

櫛の神様として信仰を集めてきました。(こちらの地図で辻忠商店の東側にあります)

その和泉櫛は貝塚特異の産業として宝永7年(1710年頃)には、

貝塚市に119名の職工がいたと言われ、宮中、院の御所、近衛家、春日神社などにも

納入された記録が残っています。